数学・情報数理コース

数学・情報数理コースの特色

数学・情報数理コースでめざしていること

前世紀から今世紀にかけて、数理科学は目覚ましい発展を遂げました。その発展は、一方ではより深く、そして他方ではより広いものになっています。例えば、ポアンカレ予想が証明されたというニュースは、テレビなどマスメディアでも大きく取り上げられましたから、ご存じの皆さんもいらっしゃるのではないでしょうか。また他方、情報科学や複雑系科学のようにコンピュータと結び付くことで、従来数理科学の対象ではなかった生物学、心理学、経済学などに対しても、数理科学が応用されています。 このコースでは、数学を中心とした論理の展開および表現能力の充実を図る数学プログラムと、情報数理の論理とコンピュータ科学・データ科学の手法を学ぶ情報数理プログラムを設けています。いずれのプログラムにおいても、数学を基礎とした論理展開力とコンピュータを用いた情報処理能力を共通の土台として、数理科学のさまざまな問題について、その解決に至るまでの考え方を実践的に学びます。 どちらのプログラムにおいても、論理的思考力を養い、自分できちんとした判断のできる人材の育成、そして情報化時代の担い手として現代社会の発展に寄与できる人材の育成を目指します。また、さらに研究を望む学生に対しては、大学院への進学の道も開かれています。大学院での教育を通して、21世紀の数理科学の発展に寄与できる人材の育成にも努めます。

教育内容の特徴

いずれのプログラムでも、3年後期から適当な指導教員のもとで少人数(5人以下)のゼミが始まり、卒業までの1年半じっくり主体的に勉強することになります。 1、2年次の教育においては数学およびコンピュータの基礎をじっくり学習します。総花的な知識の習得ではなく、基礎学力を高めることを目標とし、講義および演習・実習を通して、基礎から緻密に論理を組み立てていくことの重要さを身に付けます。 3、4年次からは、数学プログラムと情報数理プログラムに分かれます。 数学プログラムでは、代数学・幾何学・解析学を柱とする、より高度な数学を学び、数学的な論理的思考力を身につけることを目標とします。 情報数理プログラムでは、情報科学・コンピュータ科学・データ科学の手法を用いて、数理科学の問題の解決に至るまでの考え方を実践的に学ぶことを目標とします。 勉強に限らず、分からないことや悩み事について、先生方と直接相談できる時間(オフィスアワー)も設けられています。

数学・情報数理コースをめざす高校生のみなさんへ

水戸は歴史がありのどかで自然の美しいところです。長い長い歴史を持つ数学や数学を基礎とした情報科学を落ち着いて勉強したりゆっくり考えるのに適したところです。コース担当の教員も多士済々で、少人数教育も徹底しています。このような環境で学び、多くの友人もつくり充実した4年間をすごし人生の出発点にしてみてはいかがでしょうか。なお、高校までの数学と違いやや理屈っぽくなりますが、少し努力すれば実に楽しいものになると思います。

数学・情報数理コース教員の研究紹介……… 相羽 明 准教授

皆さんは、数学って難しい世界だと思っていませんか?私も数学をやっていて自分の才能のなさを何度感じたかわかりません。天才のようにすぐには理解できません。しかし、私でもゆっくり考えれば少しずつわかってきます。このわかるという感覚がうれしくてずっと数学をやっています。大学の先生は授業だけでなく研究もしています。私も、まだ誰も解いたことのない数学の問題を解こうとがんばっています。受験と違って自分の興味があるもの、解けそうな問題を探してきて考えます。だけど、うまくいかないことばかりです。なかなか良い結果は出ませんが、長いことやっているとうまくいくこともあります。

世界は広いです。自分と同じようなことを考えている人が一人はいます。突然、オーストリアの数学者から「お前の結果は、こうすればもっと良くなるけど知っていたか」というメールを受け取りました。外国に行ける機会があり、飛行機に12時間以上乗ってその人に会って来ました。メールを1回やり取りしただけの初対面でしたが、お互いに共通点がたくさんあってびっくりしました。話す言葉は違えど数学の記号を書いて説明したら何とか通じました。

数学・情報数理コース修了者の進路

これまで数学・情報系を専攻した卒業生には、「数学」の教員免許(中学校一種免許状・高等学校一種免許状)を取得して教員を目指す学生がたくさんいました。情報の教員免許も取得できるようになりましたので、頑張れば数学と情報、両方の免許を取ることも可能です。他にも、県職員や警察官などの公務員になったり、情報関係の企業や銀行などの一般企業に就職する人も多く見受けられます。また、大学院に進学し、さらに勉強して高度な専門性を身につけることも可能です。大学院では、「数学」の教員免許(中学校専修免許状・高等学校専修免許状)を取得することもできますので、大学院修了後、教員になる人も多くいます。

学生の声

問題が解けたときには、大きな達成感を味わうことができます。
冨田 かおり(数学・情報数理コース)出身高校:茨城県立日立北高等学校

私は大学に入学してこの1年間でたくさんのことを感じました。まず、大学の数学と高校の数学は大きく異なるということです。高校は計算問題が中心でしたが、大学での数学は証明問題が多く、1つ1つの問題を解くのに時間がかかります。場合によっては、アドバイスがないとまったく解けないものもあります。難しい問題は、1人で考えていても行き詰まってしまいますが、友達と協力しあうことで解決につなげます。問題が解けたときには、大きな達成感を味わうことができ、数学の楽しさを実感することができます。また、大学生活は自分の自由な時間が増えます。その時間を、バイトやサークルや勉強にあてる人が多く、私も充実した生活を送っています。将来の目標がはっきり決まっていない人も、大学での授業やたくさんの人との出会いは、やりたいことや目標を決める"Chance☆"になります。 皆さんも茨城大学で充実した生活を送りませんか?\(^O^)/

大学の数学は一言で言うと『数学者と会話をする』ものだと感じています。
長谷川 貴広(数学・情報数理コース)出身高校:秋田県立能代高等学校

皆さんは『数学』と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。関数であったり、自分が今まで習ってきた事を思い浮かべたのではないでしょうか。私は高校まで数学が大好きだったので、大学でも数学をやっていきたいと思い、大学へ入りました。しかし、大学の数学は今までやっていた数学とは違うものであり、かなり驚きがあったのを覚えています。 大学の数学は一言で言うと『数学者と会話をする』ものだと感じています。高校までは、定義や定理を使って問題を解いていくという形が多いですが、大学ではその定理がなぜ作られたのか。なぜ考えられたのか。その定理はなぜ成り立つのか。定理を導き出した数学者と数式を通して会話をしていく。そして、数学者が言いたかった意味がわかったとき、また新たな数学の一面が見えてきて、その発見をもとにさらにもっと深い数学の世界に飛び込んでいく。高校まででは味わえない数学の世界を味わえるはずです。 また、大学生活では、皆さんが思っている以上に様々なやりたいことが出来ます。実際に私はサークル2つに塾講師のアルバイトを週3回で行っていますが、毎日に様々な発見があり、とても充実した日々を過ごしています。大学は自分のしたいことができる場所です。また、したいことが見つかる場所でもあります。是非茨城大学に来てみませんか。