学際理学コース
学際理学コースの特色
「学際」は、ひとつの学問分野だけでは捉えきれない総合的な分野です。幅広く自然科学の基礎を養い、2 1 世紀の新しい分野で、活躍してみませんか!
※学際理学コースは,令和7年度より総合理学コースに変更します。
教育の理念
高等学校までの理系基本科目は、物理・化学・生物・地学・数学の5つに分かれています。しかし、自然科学における学問領域の多くは、これら基本科目をまたぐ範囲に基盤を置いています。学際理学コースでは、複数分野の基礎の体系的履修により、このような学際性の高い領域に果敢に挑戦できる能力の育成を目指します。
これを実現するため、学際理学コースには四つの教育プログラム「学際理学P」「学際理学C」「学際理学B」「学際理学E」があります。どのプログラムも、主履修分野と副履修分野からなり、それぞれに対応する科目群で構成されます。主履修分野とは、各自が身につけていく専門性を高める上で中心となる分野のことで、物理学、化学、生物科学、地球環境科学のいずれかから選択します。副履修分野とは、主履修分野と密接に関わる分野であり、図に示した通り、主履修分野ごとに2つの選択肢があります。いずれのプログラムを選択しても、物質の基本的性質を扱う分野である物理学・化学のいずれかが、主もしくは副履修分野に含まれています。これにより、様々な分野で柔軟かつ視野の広いアプローチが可能な人材を育てます。
主履修分野の選択は、原則として2年次進級時に行います。大学入学後に自分の専門分野を決めたいと考えている人にも、対応した教育内容となっています。
学際理学コース修了者の進路
本コースで学んだ学生には、バイオ関連分野(製薬、食品、化粧品)、電子材料分野、ナノテクノロジー分野(通信、医療、環境、エネルギー)、情報分野(システムエンジニア)、宇宙開発分野などで活躍する技術者、研究者への道が開かれています。また、理系教員(中学、高校)、技術系公務員への道も開かれています。さらに、大学院(修士、博士)へ進学し専門性を高めることもできます。
学際理学コースの教育内容と特徴
カリキュラムの概観
学際理学コースには、四つの教育プログラム「学際理学P」「学際理学C」「学際理学B」「学際理学E」が設けられています。学際理学Pプログラムは、物理学を主履修分野とし、副履修分野は化学か地球環境科学のいずれかです。学際理学Cプログラムは、化学を主履修分野とし、副履修分野は物理学か生物科学のいずれかです。学際理学Bプログラムは、生物科学を主履修分野とし、副履修分野は物理学か化学のいずれかです。学際理学Eプログラムは、地球環境科学を主履修分野とし、副履修分野は物理学か化学のいずれかです。どのプログラムを選択しても、物質の基本的性質を扱う分野である物理学・化学のいずれかが、主もしくは副履修分野に含まれています。
それぞれのプログラムは、おおむね、主履修分野科目から7割、副履修分野から3割で構成されています。1,2年次では、これらの基礎科目群を履修します。各自の主履修分野の選択は、原則として2年次進級時に行います。3年次以降は、主履修分野における発展的な科目を中心に履修し、4年次では主履修分野の専門的テーマで卒業研究を実施します。
入学から卒業までの流れ
年次では、教養科目を含め、基礎を幅広く勉強します。また、学際理学コースの独自科目である「学際理学入門」が前期に設定されているなど、主履修分野を選択する準備期間とも位置づけられます。
1年次の学習状況も踏まえ、各自の主履修分野の選択を2年次進級時に行います。これにより、各自の教育プログラムが決定されます。そのプログラムに沿って、2年次では、主・副履修分野の基礎を更に学びます。3年次以降は、主履修分野における発展的な科目を中心に履修します。
4年次では以下の通り、プログラムの主履修分野に対応する研究室から、卒業研究配属先を選択します。
- 学際理学P:物理学領域教員の研究室
- 学際理学C:化学領域教員の研究室
- 学際理学B:生物科学領域教員の研究室
- 学際理学E:地球環境科学領域教員の研究室
こんな人は学際理学コースがお奨めです!
次のような人には、学際理学コースは特にお奨めです。
まず第一に、入学後、大学での基礎科目に触れてから自分の専門分野を決めたいという人が挙げられます。主履修分野の決定は原則2年次進級時に行いますので、1年間大学で勉強してから方向性を決めたいという希望を持っている人にはピッタリです。あるいは、自分が学びたい専門分野が明確な人の中にも、隣接分野にも興味があってその基礎を体系的に勉強したいという場合があるかもしれません。学際理学コースのカリキュラムは、副履修分野についても系統的に学べるように構築されています。自らの専門の軸となる科目の習熟はもちろんですが、関連科目を含めて大学で勉強した経験は、自分自身の専門性の幅を将来広げる際に、大きな力になることでしょう。
第二に、特に学際的色彩がより強い学問領域に興味があるという人が挙げられます。例えば、以下のような学問領域が挙げられます。
- 量子物理(物質科学、素粒子科学を含む)や宇宙物理(天文学、素粒子科学を含む)
- 物性科学、生化学、機能性材料や生体関連化合物の設計・合成・分析
- 地球惑星物理学(地球内部構造、地球環境計測を含む)や太陽系物質科学(地球内部物質を含む)
複数の手法を組み合わせてフル活用し、未知の問題に挑むという方法論は、先端的自然科学の大きな特徴です。同じコースにいながら異なる主履修分野に取り組んでいる仲間との対話を通じて、コミュニケーション能力も鍛えられる環境が整っています。これは、社会に出てからも貴重な財産となるでしょう。